そろばんの発祥と中国での発展。

鳴沙山のラクダ、敦煌、中国。そろばん豆知識
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古代文明の紹介

古代、力を持つものが王となり、都市が作られ、文明が発達しました。
その多くは河の近くで発達しましたが、山の上で発達したものもあります。
日本教育では川の近くで発達した以下の文明を「世界四大文明」として以下を紹介しています。

文明名時期地域
エジプト文明紀元前3000年頃ナイル川流域
メソポタミア文明紀元前3000年頃チグリス川
ユーフラテス川
インダス文明紀元前2500年頃インダス川
中国文明紀元前1600年頃黄河
長江
世界四大文明

実は、「世界四大文明」という言葉は国際的な用語ではありません。
20世紀以降の日本や中国でのみ使われているそうです。
「文明のゆりかご」と表現されるのが国際的らしく、インカ文明・アンデス文明・マヤ文明なども含まれ数もはっきりしていません。

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メソポタミア文明でそろばんは生まれた。

砂そろばん

メソポタミア文明で「砂そろばん」の痕跡が見られました。
砂そろばんとは、土や砂の上に線をひき、そこに小石を置き計算するものです。

線そろばん

紀元前1000~500年頃、エジプト・ギリシア・ローマなどでは、「線そろばん」が使用されていました。岩や木で作られた平盤の上に線をひき、小石や骨や象牙などでできた玉を置いて計算をするものです。この岩や木で作られた平板のことを「アバカス(abacus)」と言います。

溝そろばん

紀元前300年~紀元後400年には、ローマ人が「溝そろばん」が使用していました。これは盤に溝を掘り、その中に計算する玉をはめこんだものです。この「溝そろばん」は持ち運びができるような大きささです。

紀元前300年頃の溝そろばんが、1846年にギリシアのサラミス島で発見されました。
「サラミスのそろばん」と呼ばれるもので、現存する最古のそろばんです。

溝そろばんは、今の日本のそろばんと似ています。
短い溝があってまるい珠が1つ、その下に長めの溝があって珠が4つあります。

東京理科大学近代科学資料館にレプリカがあるそうです。
コロナが落ち着いたら見学しに行きたいです。

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中国に「溝そろばん」が伝わる。

紀元前200年ごろから「シルクロード」と呼ばれるユーラシア大陸を通る東西の交通路を使った交易が始まりました。
この交易を通じて、「溝そろばん」が中国に伝わったと考えられています。

中国では算木を使う「籌算(ちゅうざん)」が主流

中国では、紀元前ごろには籌算(ちゅうざん)と呼ばれる計算法がありました。
この籌算(ちゅうざん)は、算木と呼ばれる棒を用いて布の上で並べて計算をします。
日本や中国ではこの方法が浸透していました。

この布の名前も「算盤」と書き、「さんばん」と呼ばれていました。
布の「算盤」なのか、溝そろばんから発展した「そろばん」なのか区別がつきにくくなっています。

また、ローマから伝えられた「溝そろばん」がすぐに普及しなかった原因として、中国の「度量衡」があるのではないかと私は考えています。

中国の「度量衡(どりょうこう)」

度量衡とは、計量に用いる長さ(度)・体積(量)・重量(衡)の基準を定めた制度です。

古代の中国の「長さ」や「体積」は、ほとんど10進法ですが、「重量」の単位が複雑でした!

「隋」と「唐」と「宋」の「重量」の単位を見比べてみます。

581年~618年1石=4鈞(きん)、1鈞=30斤、1斤=16両、1両=24銖(しゅ)
618年~907年1石=4鈞、1鈞=30斤、1斤=16両、1両=10銭、1銭=10分
960年 – 1279年石=120斤、1斤=16両、1両=10銭、1銭=10分
中国の度量衡

詳しく知りたい方は中国の度量衡についてを参照してください。

「隋」の時代は、「1斤=16両」・「1両=24銖(しゅ)」の計算も出来るようなツールが必要とされていたということになります。
ちなみに「隋」以前には、ほぼ「銖(しゅ)」という単位があり「1両=24銖(しゅ)」でした。

この計算を「溝そろばん」を使ってしようと思ったら、どんな感じのそろばんが必要なのでしょうか…。1桁24個の珠が必要?想像がつきません。

一方、「隋」の国がなくなった後、「銖」という単位が使われなくなりました。
そして「両」以下の小さい単位は10進法になっています。
「1斤=16両」の計算ができる16進法の計算ができる計算ツールがあればいいことになります。

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「溝そろばん」の中国での発展

ローマは10進法(10個の数字を数えたら位が1つ大きくなる数え方。)でした。
なので、「溝そろばん」も「上部1珠・下部4珠」でした。

度量衡が変わったので16進法の計算が出来る計算ツールが出来ればいいということになりました。

中国のそろばんは、「天(上部)2珠、地(下部)5珠」のそろばんで、現在もなおこの型のものが一般に使われているとのことです。

天2地5そろばん

あぁ、写真のセンスなくてごめんなさい。写真は中国のそろばんのイメージです。

天の珠は5を意味して、地の珠は1を表します。
なので、1桁は、5×2+5=15です。
もう1つ数が増えると1桁繰り上がります。

このそろばんだと、16進法を使う「重量」の計算を簡単にすることができます。

12世紀初め(1100~1130年頃)に書かれた「清明上河図」には、店頭で帳面や処方箋の脇に「そろばん」が置かれている様子が書かれているそうです。

中国のそろばんは、宋の時代にはもう店頭に並ぶほど普及していたのでしょう。
珠の形は楕円形でした。

《参考文献・サイト》
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
東京理科大学近代科学資料館